CRESTIA

Case 02

荻野西の家

The House in OginoNishi

DESIGN NOTES

両隣との隙間がほとんどない敷地である。こうした条件では、限られた面積をどう配分するかが設計の最初の問題になる。この家が選んだのは、一階の大半を空けるという判断だった。二階を前に張り出させ、その下を駐車場と、道から玄関へ向かうアプローチに充てている。地面を車と歩行に譲り、住まいそのものは持ち上げる。狭小地における面積の使い方として、最も合理的な解のひとつである。

外壁は濃い灰の吹付けで仕上げられ、そこに一枚、屋根の高さを越えて立ち上がる縦のフィンが差し込まれている。この一枚があることで、単なる箱が箱のまま終わらない。夜になるとアプローチの天井に仕込まれた照明が足元を照らし、フィンと軒がつくる陰影だけが浮かび上がる。

扉を開けると、印象が一変する。壁も天井も黒い。その黒のなかに置かれているのは、あらわしにした無垢の柱と、床と階段に使われた木だけである。素材を足していくのではなく、引き算した背景に木だけを立てる。この対比が、この家の空間を成立させている中心的な操作といってよい。

玄関から居間にかけて、床のレベルが変わる。下はモルタルの土間、上は木の床である。段差の見付けには照明が仕込まれ、木の床がわずかに浮いて見える。土間と床という日本の住まいが古くから持っていた区別を、光によって描き直した納まりである。

階段は鉄のササラに木の踏板を渡した、蹴込みのない形をしている。その真上には天窓がある。両隣が迫る敷地で隣家に向けて窓を開けるかわりに、光を上から落とし、階段の吹き抜けを通して一階まで届かせる。この家の主要な採光は、横からではなく上から来ている。

二階は吹き抜けに面した回廊になっており、その先に机が置かれている。手すりは細い鉄で、視線を遮らない。階下の気配が届く位置に働く場所を置くという配置は、家族の生活と個人の時間の距離をどう取るかという問題への、ひとつの答えである。

開口は数を絞り、位置を選んで設けられている。キッチンの手元の高さに横長の窓を一本通し、外の緑だけを切り取る。居間からは縦格子で仕切った庭へ、もう一方はコンクリートブロックの壁で囲った庭へ。いずれも隣家ではなく、こちらで用意した景色を見せている。

照明は一種類ではない。天井まわりの間接照明、真鍮のガラスペンダント、ダウンライト、段差の足元灯。黒く塗られた室内では、光の当たった面だけが見える。ここでは照明が、仕上げ材と同じ重さで設計されている。

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Case 03

香里ケ丘の家